
消防士になりたい、消防の仕事に興味があるけれど…

消防士は災害でどんな行動をするの?

災害活動はやりがいがありますか?

火災でどうやって人を助けるの?

火災現場のエピソードが聞きたいな…
と想いや悩みを巡らせているのではないでしょうか?
この記事では、これらの想いや悩みを
『もとレスキュー隊長』の『バリー』が今までの経験から解説・アドバイスします。
最後まで読んでいただけたら、「火災現場のエピソード」から消防士のやりがいがざっくり分かると思います。
ちなみに私は、

消防士は「やりがい」があって最高!
プライベートも充実させてくれて感謝!
って想っている幸せものです。
消防士になりたい、興味がある方にとって、この記事が消防の世界に足を踏み入れる『きっかけ』になってもらえると嬉しいです。

レスキュー隊員として火災現場へ
『住宅で火災、爆発音あり』と真夜中の指令。
レスキュー隊員として出場。
火災現場まで約2㎞、5分くらいで着く距離。
現場が近づくにつれ、きな臭さを感じる。
現場の方向を見ると夜空にオレンジの光が見える。
「これは燃えている!」隊員同士で目を合わせた。
すかさず隊長から指示が飛ぶ。
「情報はないが、逃げ遅れがいると思って行動するぞ」
「了解!」
車内が緊張感に包まれる。
火災現場に到着
災害現場特有の騒がしい雰囲気。
近所の人から「急げ!」と怒号も聞こえる。
道具を分担して持ち、仲間と走る。

火災現場に持って行く道具は、
はしご
⇒9mまで伸びるタイプ
ライト
⇒発動発電機で電力を得て強力に光る
エンジンカッター
⇒玄関ドアを破壊できる
30mロープ
⇒命綱や人を救出する時に使う
などです。
角地の住宅が燃え、その炎が隣の家をあおっている。
さらに1階に停めている車から
「ボン!ボン!ボン!」と激しい音とともに
燃料タンク付近から炎が噴き出している。
指令の「爆発音」は、このことだった。
隊長が「パジャマで裸足の男性」と話している。

火災現場では、
パジャマの人…
裸足の人…
顔にススが付いている人…
火傷をしている人…
うずくまっている人…
は、火災建物から逃げてきた人である可能性が高いため、「他に逃げ遅れた人がいるか」などの重要な情報を持っています。
どうやら燃えている家の居住者だ。
隊長が
「燃えている建物に逃げ遅れた人はいない」
と情報を周知している時…
炎にあおられている隣の家…2階の窓が開いた。
夫婦が顔を出し、その背中側には煙と火が見える。
すでに隣の家に燃えうつっていたのだ…
2階の夫婦に火が迫る
夫が窓のサッシをまたぎ、地上に降りようとしていた。
隊長がすかさず言う。
「今からはしごを架けるから待ってて!」
私と仲間ではしごを2階の窓に架けようとするが…
電話線が邪魔をして、上手く架からない。
その間、みるみる内に煙の色が濃くなっていく。
煙の色が濃くなるのは、温度が上昇しているということ…
ようやく電話線をクリアーして、はしごが架かった。
はじめに奥さん、次に旦那さんを救出することができた。
この直後、夫婦を救出した窓から炎が噴き出した。
間一髪だった…

窓を開けることで、建物の中に新鮮な空気が入ります。
そうすると、炎の勢いが一気に強くなるのです。
その中で人を助けるには、冷静な判断や慌てた中でも基本的な行動ができる技術が必要になってきます。
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とにかく熱い
助けた夫婦を救急隊に引き継いだあと、
最初に燃えている角地の家の消火にあたった。
爆発音があった車は、他の部隊が対応にあたり、車の火の勢いは鎮火方向だ。
角地の家は2階建てで、構造がしっかりしていて気密性が高い。

マンションなどの耐火建物は、気密性が高いとイメージできると思います。
この住宅は、柱と梁が軽鉄筋で組まれていて、構造がしっかりしてしました。
窓も2層で、壁の断熱材もしっかり入っていて、とても断熱効果が高い建物でした。
そういった家は、火災になると熱が外に抜けないため、大変熱いです。
いくら放水しても家の中の温度が下がらない。
さらに2階に行くと熱くて前に進めない。
我慢の時間だ。
ひたすら放水を続ける。
時に放水が仲間や自分にかかるよう角度を変える。
仲間が親指を立てる。
「ありがとう。」のサインだ。

燃えている建物に入るときは、空気が入っているボンベを背負います。
ボンベの空気がホースを伝い、顔を覆う面体へと供給されます。
その面体を顔に付けていると声が聞き取りづらいため、仲間とコンタクトをとるときは、肩を叩いたり手で合図したりします。
その後、一歩一歩前に進んで
なんとか火を消し止めることができた。
夫婦が助けを求めていた家も他の部隊により消し止めることができた。
助けられたことに感謝・感動
救急隊に引き継いだ夫婦にケガはなかった。
救急隊員に聞いた話だが、その奥さんが「消防隊に感謝している」と言っていたそうだ。
夫婦の家は燃えてしまって大変な思いをしているけど、
感謝の言葉を言ってもらって、有り難かった。
それと同時に「日々の訓練の大切さ」が身にしみた。
今回の現場は、逃げ遅れた人を
「2階の窓にはしごを架けて救出する」という
シンプルなものであったが、
これを火災現場で実行するのは難しい。
気の焦り、予期せぬ障害物、火が迫る時間的制約…
あらゆるリスクを乗り越えて、淡々と冷静に救出することが求められる。
日々の訓練のお陰で力が身に付いていたのだ。
言うまでもなく仲間の存在も大きい。
一人の力だけでは、人を助けることはできない。
はしごを支える仲間…
夫婦に「必ず助けますから!」と呼びかける仲間…
火の勢いを放水によって抑える仲間…
一人ひとりの力が合わさったのだ。
チームで救った行動…
この達成感は言葉では表しきれない。
感動するとともに、救出された人の頑張りと仲間への感謝が沸いてくる。
消防士になって良かったと思う瞬間だ。

火災のエピソードいかがでしたか?
全身でやりがいを感じられることが伝わると嬉しいです。
ぜひぜひ消防の世界に!
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