救助エピソード①《地下10mからの引揚げ救出》

学生
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消防士になりたい、消防の仕事に興味があるけれど…

転職考え中
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消防士は災害現場でどんな行動をしているの?

学生
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救助活動があるって聞いたけど…何をするの?

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救助活動のエピソードが聞きたいな…

と想いや悩みを巡らせているのではないでしょうか?

この記事では、これらの想いや悩みを
『もとレスキュー隊長』の『バリー』が今までの経験から解説・アドバイスします。

最後まで読んでいただけたら、「救助活動現場のエピソード」から消防士のやりがいがざっくり分かると思います。

ちなみに私は、

バリー
バリー

消防士は「やりがい」があって最高!

プライベートも充実させてくれて感謝!

って想っている幸せものです。

消防士になりたい興味がある方にとって、この記事が消防の世界に足を踏み入れる『きっかけ』になってもらえると嬉しいです。

レスキュー隊員として救助活動現場へ

『建築工事現場の地下部分で作業員が倒れた模様』

指令が流れる。

訓練を中断して車両に駆け込んだ。

出場途上、車の中で隊長が指示する。

「作業員は、どうして倒れたか不明だが、脊柱固定ができるように資器材を準備!」

「了解」と答えるとともに、みんなで現場に持って行く道具の確認をする。

バリー
バリー

工事現場などで「作業員が倒れた」という情報では、高いところから「転落」したことを予想します。

転落した人は、頸椎損傷の恐れがあるため、脊柱固定をして、安静に救出しなけらばなりません。 

脊柱固定は、「首を固定する道具」や「体全身をバンドで固定する板状の道具」を使います。

救助活動現場(工事現場)に到着

工事現場の前で、一緒に作業をしていた人が手を振っている。

隊長が駆け寄り話を聞きに行った。

その間に隊員たちは、道具を準備する。

隊長が情報を伝える。

「男性は、具合が悪く倒れた。転落ではない

直ちに指示が飛ぶ。

「男性のところには、足場の階段を使って降りる。階段は狭いから救出には使えない。男性を担架に収容して、はしごクレーン救出で引揚げるぞ!」

バリー
バリー

はしごクレーン救出とは、長さ3mのはしごをクレーン車のように立て、滑車やロープを使って人を引揚げる救出方法です。

レスキュー隊にとっては、メジャーな救出方法になります。

苦しがっている…早く病院へ

レスキュー隊員4名のうち、2名は隊長とともに男性の元に行く。

私ともう一人は、地上で「はしごクレーン救出」の準備にとりかかる。

はしごを立てる位置を確認するとともに地上から地下を見下ろした。

10m下の地下で男性が仰向けで倒れ、苦しがっている。

地下の環境も良くない。

薄暗く、地面は泥だ。

「早く救出して、病院に運んであげたい!」

救急隊とポンプ隊が到着


救急隊は、男性の元で救急処置に…

ポンプ隊は、ライトで地下を照らし、地上で「はしごクレーン救出」の準備をする。

はしごの2カ所に滑車を取付け、ロープをとおしていたところ…

隊長から指示が飛ぶ。

「担架を降ろしてくれ!」

ロープを使って、担架を降ろす。

「ロープゆるめ!ロープゆるめ!担架到着」

その後、隊長が地上に戻り、私を見て指示する。

「男性の元に行って、担架に収容してきれくれ!」

私は、誘導ロープを持って、男性がいる地下に行った。

バリー
バリー

誘導ロープとは、担架を引揚げる際に担架が回転しないように抑える効果があります。

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足場の泥が活動を阻む

地下に到着した。

足場が、思ったよりも悪い。

歩く度にくるぶしが泥に埋まる。

男性は、救急隊の処置により酸素が投与されている。

「もうすぐで地上に行けます。一緒に頑張りましょう」

声をかけると静かにうなずいた。

これから男性を担架に収容する。

レスキュー隊員3名で男性を持ち上げ、担架上に降ろす。

担架のバンド3カ所をしっかり締める。

隊長が地上から指示する。

「はしごクレーン救出の準備が完了した。今から救助ロープを降ろすぞ!」

救助ロープが地上から降りてくる。

「ロープゆるめ!ロープゆるめ!停止!」

ピッタとロープが止まる。

担架と救助ロープをカラビナで繋ぐ。

「カラビナよし。救助ロープ設定よし!」

誘導ロープも男性の頭側と足側に設定する。

「誘導ロープ設定よし!救出準備よし!」

地上の隊長に合図を送る。

隊長が指示する。

「救出用意。ロープ引け!ロープ引け!」

ゆっくり担架が持ち上がる。

1m持ち上がったところで、ロープを引くのを止める。

担架に繋がるロープの設定と地上のはしごクレーンを再点検するためだ。

「点検よし!」

全員が隊長に合図を送る。

いよいよ救出だ。

もう一度男性に声をかける。

「今から担架がゆっくり持ち上がっていきます。大丈夫です。もうすぐ地上に行きます」

隊長が指示を出す。

「救出はじめ!ロープ引け!」

担架が上がっていく。3m…5m…7m…

もうすぐ地上だ。

「ロープゆっくり引け!ゆっくり引け!」

10m地上部分に着いた。

隊長が慎重に担架を地上に引きつけた。

「救出完了!」

その隊長の合図で、みんなが急いで動きだす。

『早く救急車で病院に運ぶ!』

みんなの気持ちは一緒だ。

迅速性が社会復帰を左右する

みんなの連携で男性は、救急車に収容され、

救急車は、直ぐに病院へ出発した。

その救急車の出発する姿を見て、思う…

「助かってほしい」

《後日、病院の先生から聞いた話》

救出した男性の傷病名は、狭心症。

重傷だった。

直ぐに手術ができたため、回復に向かっている。

今は会話ができていて、後遺症もないため

社会復帰ができそうだ。

手術がもう少し遅れていたら、厳しかった
かもしれない。

この話を聞いたとき、本当に嬉しかった。

一緒に現場で活動したみんなも

迅速に救出できたことを喜び合った。

消防士に冥利に尽きる瞬間だった。

バリー
バリー

今まで訓練してきたことが、実際の災害で通用することが分かるとモチベーションが更に高くなっていきますよ。

ぜひぜひ消防の世界に!

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