火災エピソード②《煙と熱気の原因を探れ》

学生
学生

消防士になりたい、消防の仕事に興味があるけれど…

転職考え中
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消防士は災害でどんな行動をするの?

学生
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災害活動はやりがいがありますか?

転職考え中
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燃えている建物に入るのは怖いよね?

学生
学生

火災現場のエピソードが聞きたいな…

と想いや悩みを巡らせているのではないでしょうか?

この記事では、これらの想いや悩みを
『もとレスキュー隊長』の『バリー』が今までの経験から解説・アドバイスします。

最後まで読んでいただけたら、「火災現場のエピソード」から消防士のやりがいがざっくり分かると思います。

ちなみに私は、

バリー
バリー

消防士は「やりがい」があって最高!

プライベートも充実させてくれて感謝!

って想っている幸せものです。

消防士になりたい興味がある方にとって、この記事が消防の世界に足を踏み入れる『きっかけ』になってもらえると嬉しいです。

消防士なりたての火災出場


消防学校を卒業して、

消防署に配属されてから2ヶ月後…

早朝4時の指令。

「住宅1階出火」

仮眠室のベットから飛び起きる。

車庫まで走るが、寝起きで思考が停止している。

防火ズボンを履き、防火服を着ているとき…

ようやく覚醒してきた。

車両に飛び乗る。

出場途上に小隊長が指示する。

「現場は近い。着いたら中継体形で行くぞ!」

「了解!」

《中継体形について解説》

ポンプ車2台が配置されている消防署では、ポンプ車2台で連携して水を出します。

先行して現場の間近まで行くポンプ車を先行隊と言います。

先行隊は、タンク水が備わっているため、消火栓から水を吸わなくても一時的に放水することができます。

タンク水は、1000ℓから2000ℓしか入っていないため、放水が数分しか持ちません。

そのため、後続するポンプ車が消火栓から水を吸い上げて、先行隊に水を送ります。

このようにポンプ車2台が連携して水を送る体形を「中継体形」と言います。

※この記事のエピソードで私は、後続するポンプ車で出場しています。

機関員(運転手)が言う。

「間もなく消火栓に着きます!」

火災現場に到着

この消火栓は、火災現場まで100mの位置。

100m先に先行隊が見える。

先輩が車両からホースカーを降ろす。

バリー
バリー

ホースカーとは、ホースが14本~15本積まれてある小型の車です。

「電動で走るもの」と「人力で走らせるもの」があります。

私は、ホースの先端を消防車に繋ぎ、

ライトやロープを持ってホースカーの後ろを走る。

火災建物の前に到着した。

古い2階建ての住宅だ。

焦げ臭ささを感じるが炎は見えない。

隊長がお年寄りの男性に付き添い、指示する。

「逃げ遅れはいない。建物の中は煙が充満しているようだ。ホースを持って火元を探してくれ!」

「了解!」

みんなで建物の中に入る準備をする。

バリー
バリー

燃えている建物の中に入るときは、必ずホース(筒先)ライトが必要になります。

煙だけのときも同様です。

いきなり火炎が噴き出したりするときに備えるためです。

また、長さ30mのロープを隊員に繋ぎます。

「空気呼吸器の空気量が少なくなったとき」や「緊急の事態」にこのロープを伝って退出するためです。

空気呼吸器の面体を着け、

小隊長と先輩と私の3人で建物の中に入っていった。

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煙で視界がない


玄関を開けるとうすい煙が漂っていた。

まずは、1階を確認する。

リビング、台所、水回り…

火が見えない。

「おかしい…」

先輩がつぶやく。

小隊長が指示する。

「2階に行くぞ!」

階段を登っていく。

煙が次第に濃くなっていくのを感じる。

2階に着くときには、煙で視界が遮られていた。

ライトを照らして、ようやく50㎝先が見える程度だ。

不安な感情が沸いてくる。

廊下から居室のドアを開けると…

さらに濃い煙が吹き出してくる。

すかさず小隊長が言う。

「放水するぞ!」

筒先から勢いよく放水される。

ただ、炎が見えない。

おかしい…何が起きているんだ。

2階の熱気に恐怖を感じる


小隊長が一旦放水を止めて、状況を確認する。

その時、頭に強い熱気を感じる

ヘルメットが熱気にさらされているのに気がついた。

視界は煙で遮られ、頭の上は熱気が充満。

この状況に恐怖を感じた。

すかさず小隊長が言う。

天井裏が燃えている!天井を破壊するぞ!」

一度階段付近まで下がり、外で待つ中隊長に応援を求める。

「中隊長!天井裏が燃えています。とび口を持ってきてください!」

その時…

特別救助隊が到着した。

中隊長が特別救助隊長に指示する。

「2階の天井が燃えている。とび口で天井を破壊して放水してくれ!」

バリー
バリー

とび口は、木の柄の先端に槍のような金具が付いています。

長さが1.5m~2.5mくらいで様々な長さのとび口があります

その後、特別救助隊員が3名がとび口を持って、2階に駆け付ける。

とび口で天井を差し、引き抜くと天井材が剥がれ落ちた。

天井がオレンジ色に染まっていた。

正に火の海だ。

小隊長が放水する。

放水した水が火の勢いで水蒸気に変わる。

真っ白い煙が居室内に広がっていった。

小隊長が指示する。

「窓を開放しろ!」

窓を開放すると水蒸気の煙が屋外に出ていった。

天井を見上げると火が消えていた。

バリー
バリー

この火災原因は、2階天井裏の電気配線からの出火であるとされました。

古い家ではネズミが配線をかじったり、雨漏りで劣化した配線がショートしたりして、天井裏から出火することがあります。

経験を積むことの大切さ

この活動を振り返ると…

私は、2階で煙りが充満している中、頭上で熱気を感じ、恐怖という感情に襲われていた。

どうしようもできなかった。

何か行動に移せるほどの選択肢を持ち合わせていなかったのだ。

なぜ小隊長は天井裏が燃えていると判断できたのか?

後から聞いたが…小隊長は昔、

天井裏から火が回り、思わぬところから火が噴き出してきたことがある

と経験談を話してくれた。

命からがら逃げてきたそうだ。

そういった経験があったからこそ、先ほどの現場で対応ができたのだ。

あのまま、煙と熱気の原因が分からず放置していたら、

私たちは、突然火炎にあおられていたし、家全体も燃えてしまっていただろう。

小隊長の適切な判断が被害を最小限に止めたのだ。

やはり経験に優るものはない。

消防士なりたてにこの経験を積むことができて、

また一歩、成長する自分を実感することができた。

バリー
バリー

火災現場で危なかったことは、語り継がれていきます。

組織としても危険情報は共有され、教養なども行って事故が起きないよう努められています。

ぜひぜひ消防の世界に!

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