訓練エピソード①《個人装備の大切さ》

学生
学生

消防士になりたい、消防の仕事に興味があるけれど…

転職考え中
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訓練って厳しいよね?

学生
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火災の訓練はどんなことをするの?

転職考え中
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訓練のエピソードが知りたいな…

と想いや悩みを巡らせているのではないでしょうか?

この記事では、これらの想いや悩みを
『東京消防庁もとレスキュー隊長』の『バリー』が今までの経験から解説・アドバイスします。

最後まで読んでいただけたら、訓練のエピソードから消防士の魅力がざっくり分かると思います。

ちなみに私は、

バリー
バリー

消防士は「やりがい」があって最高!

プライベートも充実させてくれて感謝!

って想っている幸せものです。

消防士になりたい興味がある方にとって、この記事が消防の世界に足を踏み入れる『きっかけ』になってもらえると嬉しいです。

消防士がはじめに教わること


消防士は、人が逃げてくる危険な場所で活動しなければなりません。

危険な場所…

火災現場で言えば、燃えている建物の中です。

そこに捨て身覚悟で入ることは許されません。

自分の身を守りながら消火・人命救出活動にあたります。

自分の身を守る方法の一つが個人装備の完璧な着装です。

個人装備を完璧に着装することを「完全着装」と呼びます。

完全着装は、消防士がはじめに教わることです。

《火災現場の個人装備》

・ 防火服
 ⇒ 防火性能がある生地で作られ、腰に命綱が付けられる安全ベルトが着いています。

・ 防火ズボン
 ⇒ 防火性能がある生地で作られ、膝を保護するクッションが入っています。

・ 長靴
 ⇒ 足裏に鉄板、つま先に補強材が入っていて、釘の踏み抜きや落下物から足を保護します。

・ 防火手袋
 ⇒ 防火性能がある生地で作られていて、手のひらは滑り止めが付いています。

・ 防火ヘルメット
 ⇒ 防火性能を有していて、顔面を保護するシースドが付いています。また、首回りを熱から保護する「しころ」がついています。

・ 空気呼吸器
 ⇒ ボンベの中の空気を面体(顔を覆うマスク)を通して吸うことができます。

燃えているコンテナの中で耐える訓練


完全着装を試す訓練があります。

その名は、「実火災体験型訓練」

コンテナの中で木材を燃やし、

コンテナとは、海上輸送で大型貨物船で使われている「大きな鉄箱」です。

温度が上昇してきたら隊員5~6名が入ります。

その中でひたすら熱さに耐えるのです。

バリー
バリー

実火災体験型訓練には、専門の指導者がいます。

指導者は、「実火災体験型訓練指導者研修」を受けてきた人で、コンテナ内で注意するポイントなど丁寧に教えてくれます。

また、ホース(筒先)もコンテナの中に持って行き、耐えられない熱さであれば、放水して熱さを調整します。

それでは、訓練エピソードを見ていきましょう。

完全着装でコンテナの中へ


隊員たちは、個人装備を着装します。

長靴や防火服のファスナーをしっかり最後まで締め…

防火手袋をして手首をしっかり覆う…

防火ヘルメットを被り、しころが首周りを保護しているか確認する…

空気呼吸器の圧力を確認して、何分使用できるか確認する…

面体を被り、空気の漏れがない確認する…

これらのことが全てできて、完全着装になります。

肌が少しでも露出したら火傷をしてしまう。

全員で仲間の着装状態を確認して、いざコンテナの中へ。

バリー
バリー

空気呼吸器のボンベの中には、圧縮された空気が入っています。

個人差がありますが、1本のボンベで15分程度の活動ができます。

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少しずつ前進


先頭に指導者がホースを持って入る。

その後に隊員6名が連なる。

コンテナの奥では、木材が燃えさかっている。

すでに入り口から熱気を感じる。

姿勢を低くしながら、徐々にコンテナの奧に入る。

一歩進むごとに熱気が強くなるのが分かる。

少しずつ前進…

指導者が停止の合図を送る。

ここで熱さを調整するため天井に向かって放水を行う。

霧状の放水…「噴霧注水だ」

霧状の水があっと言う間に白い水蒸気に変わる。

即、蒸発するのだ。

それだけ熱い。

さらにこの場所で熱さに耐える。

もちろん、先頭が火に近く一番熱い。

そのため、先頭が入れ替わっていく…

ついに私にも先頭が回ってきた。

火は生きもの


先頭に至ると、正面で木材が激しく燃えている。

時に頭上の上を火炎が走る。

バリー
バリー

温度が500℃あたりに達すると天井部分で火が消えたり、着いたりする現象が起きます。

これをゴースティング現象と言います。

天井部分でこの現象が起きるのは、室内で天井部分が一番温度が高いためです。

そのため隊員は、姿勢を低く保ち、温度が低い場所で活動する必要があります。



バチバチバチ!

音も激しい。

顔面と防火ヘルメットに強い熱気を感じる。

恐怖に近い感覚。

さらに姿勢を低くする。

指導者が「熱さの限界だと判断」して噴霧注水を指示する。

放水をした瞬間、さきほどの噴霧注水よりも多くの水蒸気が発生する。

視界が真っ白だ。

何も見えない。

後ろを振り向くも仲間がいるかどうか分からない。

その時、コンテナの扉が大きく開く。

脱出の合図だ。

ゆっくり、姿勢を低くしたまま屋外に脱出する。

個人装備の大切さ



屋外に脱出し安堵する。

すぐさま、個人装備を脱ぐように指示される。

全て脱ぎ終えて、指導者から言われる。

「火傷していないか、体をしっかり確認してくれ」

体の隅々まで見る。

無傷だ…全員がそうだった。

コンテナの中は、相当な熱さだった。

天井部分では、温度が500℃近くまでなっていた。

この状況で8分程度耐えることができたのだ。

指導者が言った。

「過去にこの訓練で火傷した人がいる。火傷した箇所は、首回りや手首だ

なるほど、確かに肌が露出しやすい箇所だ。

完全着装がいかに大切なのかが分かる。

訓練を受けた消防士でも所詮は生身の人間である。

個人装備の完全着装なしでは、火災現場で活動することは不可能だ。

もし燃えている建物の中で受傷するれば、仲間が助けにくる。

もちろん仲間も危険な目に遇うだろう。

助けを求める人に辿り着くこともできない。

やはり自分の身を守りながら活動することは原則だ。

火の危険性や個人装備の完全着装の大切さが身にしみて分かることができた。

実火災体験型訓練に参加して本当に良かった。

バリー
バリー

消防士が消火活動している姿はかっこいいですよね。

身に付けている装備の見た目もいいですが、性能も大変いいです。

はじめて、防火服を着たときの喜びもひとしおです。

ぜひぜひ消防の世界に!

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