
消防士になりたい、消防の仕事に興味があるけれど…

大隊長はえらい人なの?

大隊長の役割は?

大隊長の階級は?

大隊長は消防署で何人いるの?
と想いや悩みを巡らせているのではないでしょうか?
この記事では、これらの想いや悩みを
『もと東京消防庁レスキュー隊長』の『バリー』が今までの経験から解説・アドバイスします。
最後まで読んでいただけたら、大隊長の役割や魅力がざっくり分かると思います。
ちなみに私は、

消防士は「やりがい」があって最高!
プライベートも充実させてくれて感謝!
って想っている幸せものです。
消防士になりたい、興味がある方にとって、この記事が消防の世界に足を踏み入れる『きっかけ』になってもらえると嬉しいです。

目次 非表示
消防署に3名いる
東京消防庁の消防署の話になります。
消防士たちは、3つのグループに分かれ働きます。
3つのグループのことを1部、2部、3部と呼びます。
1部の消防士たちが24時間働き、2部の消防士たちに交替する。
2部の消防士たちが24時間働き、3部の消防士たちに交替する。
3部の消防士たちが24時間働き、1部の消防士たちに交替する。
このように勤務することを交替制勤務と言います。
交替制勤務の消防士たちの責任者が大隊長です。
大隊長は、各部にいるため消防署では、3名います。
新宿消防署で例えると…
新宿消防署1部大隊長、新宿消防署2部大隊長、新宿消防署3部大隊長の3名です。

勤務時間について詳細に書いた記事がありますので、下にリンクを貼っておきますね。

大隊長は、部の中で責任者です。
階級は、消防司令。
消防司令補であるポンプ隊の中隊長や特別救助隊長やはしご隊長を束ね、
さらには、消防士長、消防副士長、消防士である隊員を束ねます。

階級について詳細に書いた記事があるので、下にリンクを貼っておきますね。

災害現場の責任者
大隊長は、指揮隊という部隊で、火災現場や救助活動現場に出場します。
指揮隊は、ワゴン車タイプの赤い車で、大隊長を含め6名程度が乗車しています。
《指揮隊の構成》
・大隊長(消防司令)
⇒災害現場の責任者
・指揮担当(消防司令補)
⇒各部隊の活動方針を伝達する。
・情報担当(消防司令補)
⇒逃げ遅れ情報などを収集する。
・情報員(消防士長、消防副士長、消防士)
⇒情報担当を補佐し、重要な情報を収集する。
・伝令(消防士長、消防副士長、消防士)
⇒大隊長と行動して、災害状況や応援要請の有無を通信担当に伝える。
・通信担当(消防士長、消防副士長、消防士)
⇒指令室に災害状況や応援要請の有無を無線で報告する。
災害現場に着くと大隊長は、各部隊に指示を出します。
大隊長以外の指揮隊のメンバーは、大隊長が指示をするのに必要な情報を収集したり、指令室や各部隊と無線を交信したりします。
火災現場でどのように部隊に指示するかというと…
「新宿ポンプ中隊は、火元建物の2階にホースを伸ばして、火を消すように!」
「新宿特別救助隊は、火元建物の1階に入って、逃げ遅れを救出するように!」
「新宿はしご隊は、中野ポンプ中隊と連携して、火元建物の1階にホースを伸ばして、火を消すように!」
といった指示を出し、各部隊が動くのです。
そのため、大隊長が災害現場の責任者になるわけです。

災害の規模が大きくなると責任者が変わります。
火災のケースでは、大規模に火災が発展してしまった場合や逃げ遅れた人が複数名いる場合などです。
この時は、大隊長の階級(消防司令)より上位にあたる消防司令長(副署隊長)や消防監(署隊長)が責任者になります。
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中隊長や小隊長が補佐
災害現場の責任者である大隊長。
各部隊が大隊長の判断に全て任す…というのは少し違います。
災害現場での判断は、大変難しいです。
想定外のことも起こります。
大隊長でも指示に迷ったり、状況が把握できなかったりします。
この時に補佐するのが、中隊長や各小隊長です。
火災現場で例えると…
中隊長が大隊長に助言。
「東側の方向から急激に黒い煙が噴き出してきました。他の部隊を回せますか?」
大隊長が中隊長に指示。
「了解。もうすぐ他の部隊が到着するから、東側にホース延長させて対応させる」
という感じです。
他にも火元建物の近所の人から世帯情報(火元建物に何人住んでいるか)や建物内の収容物で危険な物(灯油やカッセトガス)がある情報を聞いたら、すぐに大隊長に伝えます。
これらの情報を聞いた大隊長は、各部隊を動かして対応させていきます。
チームで対応することが大切
災害現場は、一つとして同じ現場はありません。
さらに安全な現場も一つもありません。
大隊長は、逃げ遅れた人の情報、様々な危険な状況、刻々と変わる災害状況を把握して災害が収束するよう判断していかなければなりません。
この時にもう一つ大切なのは、指令室に部隊の応援要請することです。

指令室とは、119番通報を受信し、その現場にどの部隊を出場させるかを決めて、各消防署の部隊に出場命令を指令する部署です。
災害でけが人が複数名発生したら、救急隊を応援要請します。
災害対応が長時間になりそうな場合は、後方で支援する部隊を応援要請します。
災害対応で人員が多く必要な場合は、さらにポンプ隊を応援要請します。
災害対応で特殊な知識を必要とする場合は、専門の部隊を応援要請します。
このように大隊長は、不足する部隊を応援要請していきます。
チーム(東京消防庁)で災害に対応することが大切になってきます。
このように消防士たちは、大隊長を中心に災害に立ち向かっていくのです。

大隊長は、部の責任者でもあり、災害の責任者でもあります。
プレッシャーがある分、やりがいも大きいです。
ぜひぜひ消防の世界に!
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