
救急隊になりたい、救急隊の仕事に興味があるけれど…

救急隊になってみたいな?

救急隊員って消防士なの?

救急隊の魅力って何?

救急隊になるためにはどうするの?
と想いや悩みを巡らせているのではないでしょうか?
この記事では、これらの想いや悩みを
『東京消防庁もとレスキュー隊長』の『バリー』が今までの経験から解説・アドバイスします。
最後まで読んでいただけたら、救急隊の魅力がざっくり分かると思います。
ちなみに私は、

消防士は「やりがい」があって最高!
プライベートも充実させてくれて感謝!
って想っている幸せものです。
消防士になりたい、救急隊員になりたい、興味がある方にとって、この記事が消防(救急)の世界に足を踏み入れる『きっかけ』になってもらえると嬉しいです。

目次 非表示
救急隊員も最初は消防士
救急隊員になるためには、都道府県(各自治体)が行う公務員試験で筆記試験に合格し、体力・面接試験で適正だと認められる必要があります。
採用されれば、消防学校に入学し、給料をもらいながら、消防士に必要な知識・技術を身に付けて消防署に配属されます。
救急隊になりたい人は、消防士をしながら、「救急隊員になるための選抜試験」を通過するために勉強をします。
合格すれば研修に行き、知識や技術を身に付け、「救急隊になる資格」を取り、救急隊員になるのです。

都道府県(各自治体)により少しの違いがあったりしますが、これが一般的な流れになります。
次からは、東京消防庁の話になります。
東京消防庁でも救急隊の選抜試験があります。
救急隊に求められる基礎知識を筆記試験で試されます。

基礎知識の出題範囲は、事前に通知文で知らされます。
救急に関する法律、規程、基準などが出題されますが、これらは消防署で容易に調べることができるため、学習を始めるのに苦労はしないでしょう。
私の所見ですが、選抜試験は、不合格にする試験ではなく、やる気がある人であれば合格できる内容となっています。
選抜試験に合格したら、「救急標準課程研修」に行きます。
約1ヶ月半、消防学校で「救急隊の経験があるベテラン職員(教官)」から知識や技術を学びます。
研修の途中や最後には試験があり、それらをクリアーできれば、「救急標準技術」という資格を取得できます。
これで救急隊員として災害現場に行くことができるのです。

救急隊になる過程は理解できましたか?
消防学校から消防署に巣立てば、救急隊の先輩たちが身近にいます。
その人たちが、色々と教えてくれるので心配はありません。
それでは、ここから私の所見から「救急隊の魅力」を語りたいと思います!
救急処置ができる
災害現場で傷病者に直接、救急処置ができることは、大きな魅力の一つです。
救急隊員が傷病者にはじめにすることが「観察」です。
顔色は悪くないか…
受け答えに応じることができるか…
出血はあるか…
失禁はあるか…
体温は何度か…
呼吸は、1分間に何回しているか…
脈拍は、1分間に何回あるか…
血圧は、どの程度か…
酸素飽和度は何%か…
心電図は、どのような波形になっているか…
これらのことを自身の手や様々な器具を駆使して手際よく観察します。
さらに傷病者や付きそう家族などから「聴取」を行います。
どのようにして具合が悪くなっていったか…
どのようにして倒れたか…
今までかかった病気は何か…
病院はどこに通っていたか…
普段どのような薬を飲んでいるか…
最後に食事をとったのはいつか…
このように傷病者の状況に合わせて様々なことを聴取します。
この「観察」と「聴取」により傷病者の容態を把握し、適切な救急処置を行います。
酸素投与…
気道確保…
口の中の異物除去…
保温…
止血処置…
副子固定…
心肺停止の傷病者であれば、さらに高度な救急処置をします。
器具を使った気道確保…
器具を使った人工呼吸…
除細動器を使った電気ショック…
血管に注射針を刺して薬剤を投与…
私も間近で救急隊の救急処置を見てきましたが、洗練され無駄のない動きに感心しっぱなしです。

救急隊員の入門資格が「救急標準技術」ですが、さらに上位の資格で「救急救命士」の資格があります。
「救急救命士」は、国家資格に合格することで取得ができ、より高度な救急処置をすることができます。
先に書いた内容で「血管に注射針を刺して薬剤を投与する」ことは、救急救命士でなければできません。
職場内での信頼も厚いです。
消防士たちも災害や訓練で具合が悪くなったり、ケガをすることがあります。
その時に救急隊がいち早く駆け付けて救急処置をしてくれます。
仲間から頼りにされているのです。
私生活でも救急処置の知識は役立ちます。
通勤途中に具合が悪くなった人がいる…
家の中で家族が具合が悪くなった…
子どもがケガをした…
そんな時でも冷静・的確に行動することができるでしょう。

私がレスキュー隊の頃、災害現場で救急隊と連携して傷病者を助ける場面がたくさんありました。
エピソードを書きましたので下にリンクを貼っておきます。

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感謝されることが多い
救急隊が感謝されることは、本当に多いです。
救急車で運ばれた方やその家族が、
消防署に来てお礼をする…
消防署に電話でお礼をする…
本庁の「都民の声係」に電話でお礼をする…
たくさんの感謝の声があります。
私も電話で何度かお礼の電話を受けたことがあります。
「素早く処置をしていただいて、今は意識を取り戻しています。本当にありがとうございます」
「救急隊の方にやさしい声をかけられて、感動しました。本当にありがとうございます」
「医者からあと3分病院に着くのが遅れていたら助からなかったと言われました。本当に感謝しています」
などなど。
「今、救急隊は出場中ですので、帰ってきたら伝えておきます。電話をしていただき、ありがとうございます」
と電話を切り、私も誇らしい気持ちです。
救急隊が帰ってきて「お礼の電話があったこと」を伝えると本当に喜んでいます。

ベテランの救急隊長と飲むことがあります。
その救急隊長は、
「的確な処置をして人が助かることは本当に嬉しい。お礼の言葉があると救急隊をやっていて本当に良かったと思う!」
と目を赤くして声たかだかに言います。
感謝の言葉は、救急隊の原動力に繋がるのです。
手当が充実
救急隊は、出場件数が多く、忙しいです。
以前、「消防士の一日」の記事を書きました。

この記事で消防士は、消防署で訓練、事務、作業を行います。
その時々に災害出場するイメージですが、救急隊は違います。
消防署にいる時間より、救急現場に出場している時間の方が長くなります。
救急隊は、出場するごとに数百円程度の手当(出動手当)が支給され、救急処置の内容によって数百円程度の手当(救急手当て)が支給されます。
また、「夜間帯である仮眠時間に出場」すれば、超過勤務手当が支給されます。
この手当は大きいです。
超過勤務手当は、基本給によって単価が変わりますので、長く勤務している人や階級が上位である人の方が高くなります。
さらに仕事が終わる時間(朝の8時40分以降)に出場した場合も超過勤務手当が支給されます。
救急隊は、一当番に10件ほど出場しますので、月で100件程度出場します。
この100件の出場によって、出動手当、救急手当、超過勤務手当が支給されるため、消防士たちの給料よりも高い額を貰っています。
ざっくりですが、救急隊長(階級が消防司令補)で40歳・勤続20年であれば、年収1000万円を超すと思います。
それだけ、忙しく責任ある仕事なのです。

救急隊は、的確な救急処置により、感謝されることが多いです。
やりがいも仕事に対する誇りも大きいです。
ぜひぜひ消防(救急)の世界に!
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