
消防士になりたい、消防の仕事に興味があるけれど…

消防士長はどういう役割なの?

消防士長は、階級で言うと何番目?

消防士長に役職はある?

若手にとって消防士長はどんな存在?
と想いや悩みを巡らせているのではないでしょうか?
この記事では、これらの想いや悩みを
『東京消防庁もとレスキュー隊長』の『バリー』が今までの経験から解説・アドバイスします。
最後まで読んでいただけたら、消防士長の役割と魅力がざっくり分かると思います。
ちなみに私は、

消防士は「やりがい」があって最高!
プライベートも充実させてくれて感謝!
って想っている幸せものです。
消防士になりたい、興味がある方にとって、この記事が消防の世界に足を踏み入れる『きっかけ』になってもらえると嬉しいです。

小隊長も隊員も機関員もこなす
この記事は、東京消防庁の消防士長の話になります。
さっそく…
消防署で消防士長は、どの役職についているか例を見てみましょう。
《ポンプ隊の一例》
・中隊長【消防司令補】
・小隊長【消防士長】
・隊員【消防副士長】
・隊員【消防士】
・機関員【消防副士長】

中隊長が乗車するポンプ隊には、小隊長の役職がいます。
この小隊長が消防士長です。
火災現場でホースを延長して放水する役割を担います。火元建物の中に入るときは、放水をしながら、隊員に指示して逃げ遅れた人を探します。
中隊長やポンプ隊について書いた記事がありますので下にリンクを貼っておきますね。

《はしご隊の一例》
・小隊長【消防司令補】
・隊員【消防副士長】
・機関員【消防士長】

消防士長は、機関員(運転手)をすることができます。
はしご隊だけでなく、ポンプ隊、救急隊、レスキュー隊、指揮隊などの機関員も担うことができます。
とりわけ、はしご車は高度な運転技術が必要になることから、ベテランで消防士長の階級にある人が機関員になることが多いです。
はしご隊について書いた記事があるので、下にリンクを貼っておきます。

《レスキュー隊の一例》
・小隊長【消防司令補】
・隊員(1番員)【消防士長】
・隊員(2番員)【消防副士長】
・隊員(3番員)【消防士】
・機関員【消防副士長】

レスキュー隊の1番員は、消防士長です。
副隊長とも呼ばれます。
小隊長【消防司令補】が不在の時は、小隊長職を代行します。
レスキュー隊について書いた記事がありますので、下にリンクを貼っておきますね。

《指揮隊の一例》
・大隊長【消防司令】
・指揮担当【消防司令補】
・情報担当【消防司令補】
・伝令【消防副士長】
・通信担当(機関員)【消防士長】

消防士長は、情報担当、伝令、通信担当の役職を担うことができます。
通信担当(機関員)は、指令室に対して災害の状況や不足する部隊の応援について無線交信します。
経験が必要になる役職なので、消防士長が担うことが多いです。
大隊長や指揮隊について書いた記事があるので、下にリンクを貼っておきますね。

隊長と隊員の橋渡し役
消防士長が部隊の中でどの役職になっているか見てもらいました。
消防士長は、階級で言うと…
消防士(隊長、機関員)
⇩
消防副士長(隊員、機関員)
⇩
消防士長(隊員、機関員、小隊長代行など)
⇩
消防司令補(中隊長、指揮担当、各小隊長など)
⇩
消防司令(大隊長)
下位の階級から3番目になります。
大隊長(消防司令)を筆頭とする大隊の中で、ちょうど真ん中です。
消防士長は、様々な役職をこなしつつ、各隊長と隊員の橋渡し的存在なのです。
訓練では、上司である消防司令補の方針を聞き入れ、消防士や消防副士長の部下に対して指導やアドバイスを行っていきます。
また、災害活動では、上司である消防司令補の活動方針を実現すべく、部下である消防士や消防副士長と連携して、自ら行動していくのです。
ここでポイントなのが、消防司令補の方針をただ聞き入れるだけでなく、自ら考え「訓練目的」や「災害対応の最終目的」が達成されるよう上司に具申したりします。
消防司令補もその具申をしっかり聞き、更に考え、最終的に方針を決定していきます。
消防士長は、上司にとっても、部下にとっても頼りがいのある存在なのです。

消防士長は、率先垂範という言葉が似合う階級です。自らが行動して、消防士や消防副士長の見本となり、部隊の士気を高めていく役割もあります。
上司から一目を置かれる消防士長であれば、訓練内容の決定やその後の進行も任せられることがあります。
とてもやりがいがあるポジションだと思います。
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若手の育成に携わる
消防士長は、30歳代から40歳代前半の人が多いです。
中には、職人気質で大ベテランの50代の人もいます。
様々な経験を経て資格や知識を習得し、現在の役職についている人たちです。
部の中でも、隊の中でも要です。
そのため、消防士長には重要な役割があります。
それは、若手の育成です。
消防司令補とともに携わります。
特に技術面での育成は重要です。
消防司令補である隊長は、判断や指示をすることが役割になりますが…
実際に車両・資器材(道具)を取り扱い「人命救助」をするのは、消防士長の役割です。
もちろん、消防士長一人で「人命救助」するのではなく、消防副士長や消防士に補佐させます。
補佐させるために技術面の育成が大切になるということです。
例えば、火災現場で必要な技術は…
ホース延長の仕方
はしごの取扱い方(9mまで伸ばせるはしご)
ロープの結び方(ロープワーク)
空気呼吸器の使い方
投光器(ライト)の使い方
エンジンカッターの取扱い方
玄関ドアや窓ガラスを破壊する方法
燃えている建物内で逃げ遅れた人を探す方法
逃げ遅れた人を運ぶ方法
2階で逃げ遅れた人をロープやハーネスを使って助ける方法
火災現場の技術だけでも、育成しなければならない技術がたくさんあります。
その他にも多様な災害があり、それに立ち向かう技術が必要で、若手の育成が重要なのは言うまでもないと思います。

私も消防士なりたての頃は、消防士長にたくさんのことを学びました。
技術的に難しいところは、個人で反復して訓練を行うのですが…
その時も消防士長がこっそり見に来て、アドバイスをしてくれました。
本当に感謝しています。
やりがいが詰まっている階級
消防士長の魅力は伝わったでしょうか?
消防士長は、今まで培った経験、知識、技術、資格を活かし、各部隊の役職に就きます。
その部隊の中で、隊長と隊員の橋渡し的な存在になり、災害に立ち向かっていきます。
時には、消防司令補が不在の際に、隊長職を代行し、責任ある立場を担います。
さらに災害に立ち向かう技術を若手に教えていきます。
本当にやりがいが詰まっている階級だと言えます。
もしかすると、皆さんが憧れる消防士の姿は、消防士長にあるのかもしれません。

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