
消防士になりたい、消防の仕事に興味があるけれど…

はしご機関員はどうやってなるの?

女性もはしご機関員になれる?

必要な資格はありますか?

はしご車を運転して、人を助けたいな…
と想いや悩みを巡らせているのではないでしょうか?
この記事では、これらの想いや悩みを
『東京消防庁もとレスキュー隊長』の『バリー』が今までの経験から解説・アドバイスします。
最後まで読んでいただけたら、はしご機関員の魅力がざっくり分かると思います。
ちなみに私は、

消防士は「やりがい」があって最高!
プライベートも充実させてくれて感謝!
って想っている幸せものです。
消防士になりたい、興味がある方にとって、この記事が消防の世界に足を踏み入れる『きっかけ』になってもらえると嬉しいです。

機関員の最上位
ポンプ車、救急車、はしご車など、消防車両を運転する人を「機関員」と言います。
はしご車は、消防車両の中で車体が大きく運転技術が求められます。
さらに高層建物の火災現場では、はしごを伸ばし、上階で逃げ遅れた人を助けなければなりません。
はしごを伸ばす操作も基本的に機関員が行います。
機関員がはしごの根元(ターンテーブル)の操作台に乗って、はしごの先端(バスケット)を見上げながら操作をするのです。
はしごの長さは、30mまたは40mもあり、その先のバスケットを1㎜単位の感覚で動かさなければなりません。
とても高度な技術が必要です。
さらに、はしご車をいつでも運用できるように日頃から整備しておく必要があります。
整備の仕事もはしご機関員には、とても重要ですので、高度な知識・整備技術が求められます。
そのため、東京消防庁では、「特別操作機関技術」という庁内資格で機関員の最上位の資格を有していないと「はしご機関員」になることができないのです。

庁内資格について、書いた記事がありますので、下にリンクを貼っておきますね。

【はしご車のはしご操作の解説】
操作は、以下のとおり5種類あります。
伸てい(しんてい):はしごを伸ばすこと
縮てい(しゅくてい):はしごを縮めること
伏てい(ふくてい):はしごを倒すこと
起てい(きてい):はしごを起こすこと
旋回(せんかい):はしごを回すこと
《機関員の操作》
はしごの根元は、円形で回る仕組みになっていて、その箇所をターンテーブルと言います。
ターンテーブルには、椅子と操作盤が設置されています。
機関員がその椅子に座り、操作盤のレバーを指で操作することで、はしごを伸ばしたりできます。
《隊員の操作》
はしごの先端には、人が乗れるカゴが付いています。
このカゴをバスケットと言います。
バスケット内には、操作盤が設置されていて、
隊員が操作盤のレバーを指で操作することではしごを伸ばしたりできます。
※ 基本的には、機関員が主導ではしごの操作を行います。バスケットが機関員から見えづらい位置にある時などに隊員がバスケット内で操作を行います。
はしご機関員への道
東京消防庁では、はしご機関員になりたい人も消防学校に入校します。
そこで消防士になるための基礎教育を受け、消防署に巣立っていきます。
消防署では、はじめはポンプ隊員として配属されます。
訓練に励み、災害に出場し、訓練や事務を行い、雑用をこなす。
消防士なりたては、ポンプ隊員の基礎を学ぶ大切な期間です。
機関員になりたい人も、この期間で災害現場での隊長の考えやポンプ隊員の動きを学び、機関員になった後もこれらの知識や経験を活かしていく必要があります。

機関員は、隊長職(消防司令補)に昇任していく人がたくさんいます。その時に隊員の知識や経験を積んでいないと部下に指導ができなくなってしまいます。
機関員志望でもポンプ隊員の基礎をしっかり身に付けておくことが大切です。
それでは、はしご機関員になるまでの道を見ていきましょう。
普通機関技術認定試験を受験(普通免許が必要)
受験項目は、運転技術試験と筆記試験です。
運転技術試験は、ワゴンタイプの車両で、様々なコースを運転し、運転技術の安全性、確実性、迅速性などが確認されます。
筆記試験は、普通機関員として分かっていなければならない規程、基準、車両整備などの基本的な内容の問題が出されます。
この2つの試験に合格することで、普通機関技術が認定されます。
指揮隊車や救急車などのワゴン車を運転できる「普通機関員」になれるのです。

普通機関員の経験を積んだ後は、ポンプ機関員を目指します。
ポンプ機関技術選抜試験を受験(中型免許+普通機関技術が必要)
受験項目は、筆記試験のみです。
ポンプ機関員として分かっていなければならない規程、基準、ポンプ装置の仕組みなどの基本的な内容の問題が出されます。
筆記試験に合格すると約1ヶ月間の研修に行きます。
研修では、ポンプ車運転技術やポンプ運用技術など「ポンプ機関員」になるための基礎教育を受けるのです。

ポンプ運用とは、消火栓や防火水槽からポンプ車で水を吸い上げて、筒先に向かって水を送ることを言います。
車両には、各計器が付いていて「筒先に送っている水量」「筒先送っている水圧」などを確認し、筒先に送る水の量や圧力を調整していきます。
研修を終えて、ポンプ機関技術が認定されます。
その後、「ポンプ機関員」になり、ポンプ車を運用できるようになるのです。

ポンプ機関員の経験を積んだ後は、はしご機関員を目指します。
特別操作機関技術選抜試験を受験(大型免許+ポンプ機関技術が必要)
受験項目は、運転技術試験と筆記試験です。
運転技術試験は、ポンプ車で様々なコースを運転し、運転技術の安全性、確実性、迅速性などが確認されます。
筆記試験は、はしご機関員として分かっていなければならない規程、基準、梯体(はしごのこと)などの基本的な内容の問題が出されます。
この2つの試験に合格すると、約1ヶ月半の研修に行くことができます。
その研修で、はしご機関員としての技術、知識を身に付けると「特別操作機関技術」が認定されます。
その後、はしご機関員になることができるのです。

はしご機関員になれるまでの年数ですが、モデルケースを紹介します。
【後輩Bさんの場合】
18歳:東京消防庁に入庁
19歳:A消防署ポンプ隊員
20歳:普通機関技術を取得(ポンプ隊員を継続)
22歳:ポンプ機関技術を取得
23歳:ポンプ機関員に配属
26歳:特別操作機関技術を取得(ポンプ機関員を継続)
27歳:はしご機関員に配属
Sさんの場合は、ポンプ隊員として約4年の経験を積み、ポンプ機関員として4年の経験を積んでいます。このぐらいの経験年数があれば、昇任して隊長職(消防司令補)になったとしても、部下指導に困ることはないと思います。
ちなみにはしご機関員になる上で、学歴は関係ありません。
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ハイパーレスキュー隊の配属も
はしご機関員として実績を積んでいくと、ハイパーレスキュー隊に配属されることがあります。
ハイパーレスキュー隊は、大型で特殊な車両(資材搬送車、屈折放水車など)を運用します。
これらの車両は、「大型免許」と「特別操作機関技術」を持っていないと運用できません。
ハイパーレスキュー隊では、特別操作機関技術を取得していると貴重な人材として扱われるでしょう。
特に年齢が若いとハイパーレスキュー隊になる可能性が大きくなります。

ハイパーレスキュー隊は、必ずしもレスキュー隊の資格を有していなくてもなることができます。
また、「特別操作機関技術」を持っていて、ハイパーレスキュー隊になりたい人は、配属されるのを待つだけではなく、自ら異動希望を出すことができますよ。
女性も活躍している
東京消防庁には、女性のはしご機関員がいます。
上記で紹介した「はしご機関員への道」は、女性でも問題なくクリアーできます。
運転操作、はしごの操作、車両整備は、「器用さ」や「細かいところに気づく能力」が必要になります。
女性には、これらの能力に長けている人が多いので、活躍されているのだと思います。

東京消防庁で女性はしご機関員についての記事がありしましたので、リンクを貼っておきます。
職人技が人を救う
はしご機関員の最大の魅力は、高層建物で逃げ遅れた人を助けることです。
機関員最上位の資格を有し、
大型のはしご車を自由自在に運転し、
はしごを㎜単位で操作し、
ドンピシャで逃げ遅れた人の階層までバスケットを架梯する。
まさに職人技。
この職人技で人を助けることができたのなら、やりがいは言葉に表しきれないでしょう。
このやりがいに魅了され、退職するまで「はしご機関員」をやり続ける人がいるくらいです。

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