
消防士になりたい、消防の仕事に興味があるけれど…

人間関係ってどうなのかな?

ハラスメントの報道を見たから怖いな…

階級ってどんな感じ?

先輩と後輩の上下関係も厳しいよね?
と想いや悩みを巡らせているのではないでしょうか?
この記事では、これらの想いや悩みを
『東京消防庁もとレスキュー隊長』の『バリー』が今までの経験から解説・アドバイスします。
最後まで読んでいただけたら、階級や上下関係を踏まえた人間関係のことがざっくり分かると思います。
ちなみに私は、

消防士は「やりがい」があって最高!
プライベートも充実させてくれて感謝!
って想っている幸せものです。
消防士になりたい、興味がある方にとって、この記事が消防の世界に足を踏み入れる『きっかけ』になってもらえると嬉しいです。

目次 非表示
ハラスメント防止に努めている
ハラスメントは様々な種類がありますので、この記事ではパワハラとセクハラが題材になっています。
消防署のハラスメントのことが報道されたりしています。
消防士は「人助け」が使命なのに、どうして身近にいる仲間を大事にできないのだろう。
仲間を大事にできない消防士がどうやって「人助け」ができるのだろう。
そんな疑問をもち、大変残念な気持ちになります。
それと同時に一部の消防署でハラスメントの報道があることで、消防全体がそういう風潮だと思われてしまうことに憤りを感じてしまいます。
ただ、ハラスメントの報道がされることは、前向きなことだと思っています。
何が前向きかと言うと
報道では、ハラスメントの内容に加え、加害者の階級・年齢や処分内容が公表され、組織として対応している事が分かるからです。
組織としてハラスメントは許さないという意志がしっかり伝わってきます。
災害現場で「人」を助けるためには、チームの力が必要です。お互い信頼し合っているからこそ危険な現場で活動できるのです。
と言うか危険な場所で信頼できるのは仲間だけなのです。
この価値観が、消防全体に浸透してきています。
組織によっては、外部の講師を招いて「ハラスメント防止」の教養をしたり、「ハラスメント」の相談員制度を作っているところもあります。
このハラスメント防止に努めることは、これから益々加速していくでしょう。

冒頭の話が長くなりました。
消防署の人間関係を知るには、階級や先輩・後輩の関係を分かっている必要があるので、ここから解説していきますね。
階級の解説
階級は、都道府県(各自治体)により変わってきます。

指定都市なのか、人口の多い市町村なのかで変わってきます。
人口の少ない市町村では、トップである消防長の階級が下位になります。
災害・訓練の時と事務中の時では役割が変わります。
東京消防庁を例にして見てみましょう。
《階級と災害・訓練時の役割》 東京消防庁
・ 消防士 ⇒ 隊員
・ 消防副士長 ⇒ 隊員
・ 消防士長 ⇒ 隊員・小隊長
・ 消防司令補 ⇒ 小隊長・中隊長
・ 消防司令 ⇒ 大隊長
・ 消防司令長 ⇒ 副署隊長
・ 消防監 ⇒ 署隊長
・ 消防正監 ⇒ 方面本部長
・ 消防司監 ⇒ 部長
・ 消防総監 ⇒ 総監

住宅の一室が燃えている火災であれば、大隊長がトップの階級で活動します。
住宅が何棟も燃えている火災であれば、署隊長や方面本部長がトップの階級で活動します。
災害の規模によってトップの階級が変わるということです。
《階級と事務時の役割》 東京消防庁
・ 消防士 ⇒ 係員
・ 消防副士長 ⇒ 係員
・ 消防士長 ⇒ 副主任
・ 消防司令補 ⇒ 主任
・ 消防司令 ⇒ 係長
・ 消防司令長 ⇒ 課長
・ 消防監 ⇒ 署長
・ 消防正監 ⇒ 部長・方面本部長
・ 消防司監 ⇒ 次長・部長
・ 消防総監 ⇒ 消防長

階級と役割は、ざっくり覚えておけばいいと思います。
消防署に入れば、自然に分かってくることです。
ただ、大隊長と中隊長については、少し理解していたほうがいいと思いますので、記事のリンクを貼っておきますね。


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先輩と後輩の関係
階級とは別に先輩、後輩の関係も大切になります。
消防士になりたての時に一番頼りになるのは先輩です。
色々なことを教えてくれます。
仕事の段取り… 資器材の保管場所… 雑用のこと… 訓練のこと… 災害現場のこと。
なんでも相談にのってくれます。
大変な時期に一緒に頑張ってくれる先輩と絆が深くなるのは当たり前ですよね。
そのため、消防士には明らかに先輩・後輩の関係があると思っていいでしょう。

ただ、転職が当たり前の時代です。
先輩が年下で後輩が年上ということがありますので、お互いリスペクトしながら仕事をしていますよ。
場面でわきまえている
消防士のほとんどが、人間関係を大きく3つの場面でわきまえています。
・ 災害・訓練の時
・ 事務の時
・ 仕事をしていない時

3つの場面での人間関係を見てみましょう。
《災害・訓練の時》
ここでは階級が絶対になります。
危険な場所に行き、人を助けるのが使命ですから、組織での対応が必要になります。
組織での対応は、言わば階級での役割で行動するという事です。
この場面で階級での役割で行動しなければ「人」を助けるどころか、仲間が危険な目に遭ってしまいます。
そのため先輩、後輩、年齢は関係ないのです。

この考えは大変重要です。
皆さんも先輩や上司になった時はこの考えを貫いてください。
《事務の時》
災害・訓練の時とは違い、緊迫している訳ではありません。
私の経験上、階級の役割を軸にして、年齢や先輩・後輩の関係を大切にしながら仕事をしています。
階級の役割を軸にするとは、係員が事務処理をした際は、上位の階級の人がチェックをしていきます。
消防署で例えると…
係員が災害状況の報告書を作ったら、副主任や主任が確認して、係長⇒課長⇒署長という流れで報告されます。
この事務の流れの中で、お互いの立場を理解して、情報の共有などコミュニケーションを取りながら仕事を進めています。

一般の会社と同じ雰囲気で仕事をしていると思いますよ。
《仕事をしていない時》
24時間勤務で働いていると仕事をしていない時間があります。
食事、休憩、就寝時間などです。
ずっと気を張り詰めているわけではありません。
これらの時間は、リラックスして仲間との会話を楽しんだりしています。
階級のことは頭から離れて、
趣味の話、家族の話、恋人の話、ふざけた話など…みんなで盛り上がっていますよ。
24時間一緒にいて、災害や訓練で一緒に汗をかいて、食事をして、シャワーを浴びて、洗濯をして、就寝する。
部隊によっては、家族に近い感じになり、とても雰囲気がいいです。
休みの日も趣味が合う人がいれば、バーベキュー、キャンプ、釣り、山登りなど…一緒に行ったりします。

家族と近い存在になったり、趣味を一緒に楽しんだりすることは、消防の魅力の一つです!
まとめ
今、消防では「ハラスメントの防止」に本気で取り組んでいて、この動きは益々加速していくでしょう。
ほとんどの消防署では、お互いをリスペクトしながら、良い雰囲気で仕事をしていると思います。
ただ、消防士は、危険な災害現場に出場して人を助けなければなりません。
そのため、災害現場や訓練では、階級の役割で行動することが原則です。
食事や休憩時間は、リラックスして仲間との会話を楽しんでいたりします。
寝食ともにする仲間ですから、部隊によっては家族のような存在になっていきます。
そうなったら消防の仕事が益々楽しくなっていくでしょう。

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