
消防士になりたい、消防の仕事に興味があるけれど…

学歴が高卒だけど消防士になれる?

大学に行ってから消防士になった方がいいの?

働きながら大学通えるって本当?

働きながら大学に通った経験談聞きたいな…
と想いや悩みを巡らせているのではないでしょうか?
この記事では、これらの想いや悩みを
『東京消防庁もとレスキュー隊長』の『バリー』が今までの経験から解説・アドバイスします。
最後まで読んでいただけたら、高卒でも働きながら夜間大学に通えることが分かると思います。
ちなみに私は、

消防士は「やりがい」があって最高!
プライベートも充実させてくれて感謝!
って想っている幸せものです。
消防士になりたい、興味がある方にとって、この記事が消防の世界に足を踏み入れる『きっかけ』になってもらえると嬉しいです。

高卒19歳で消防士に
今回の記事は、私の経験談になります。
小学生の頃、消防士が災害現場で活躍している姿を見て、強烈に憧れました。
高校は進学校に行きましたが、消防士になりたい気持ちが強く、
大学には進学せず「東京消防庁職員採用試験」に臨んだ訳です。
18歳の時は不合格。19歳の時に晴れて東京消防庁に採用されました。
採用されて消防学校に入学し、訓練や教育を受け、消防署に巣立ちました。
消防署に巣立ってから、憧れていた消防士として訓練に励み、災害現場に出場し、充実した日を送っていました。
少し慣れてきた1年後、出張所のポンプ隊員になったのです。

出張所とは、消防署の人員や車両配置の規模を小さくした消防署のことです。
新宿消防署で例えると…
新宿消防署落合出張所、新宿消防署戸塚出張所、新宿消防署大久保出張所、新宿消防署西新宿出張所があります。
消防署(本署)に1から6の出張所があります。
ポンプ車2台、救急車1台が配備されている出張所が多いです。
人員は40名程度になります。
その出張所で出会った中隊長。
中隊長は、当時53歳。
若い頃は、特別救助隊(レスキュー隊)に所属し、隊長も経験した方です。
白髪が混ざって、普段はしゃべり好きでニコニコしていましたが、
災害現場や訓練では一変。
鬼の目つきになり、竹刀を持ち出して隊員を指導する人でした。
私は、中隊長に「レスキュー隊員を目指している」ことを伝えていましたので、
体力や精神力が身に付くよう、日々熱く指導してもらいました。
夜間大学に通ってみなさい
出張所で中隊長に鍛えてもらう日々。
休み時間中に中隊長が私の高校生活を聞いてきました。
その中で「大学進学に興味はなかったのか?」と聞かれました。
その問いに色々な考えが浮かびました。
10代で消防に入り、消防の世界しか知らないこと…
同級生が大学に進学していて、どのようなことを学んでいるか興味があること…
大学に行くことで自分の視野が広がるのではないかということ…
この先、大学に行かないことで後悔はないのかということ…
こんな思考がグルグル回っている時に中隊長が、
「興味があるのなら、夜間大学に通ってみなさい」と言いました。
私は、スッと背中を押してもらえた気持ちになりました。

中隊長が私に夜間大学の通学を勧めたのは、これからの時代、レスキュー隊になるにしても知識を広げることは、大切なことだと考えてくれてのことでした。
私自身、夜間大学の通学は、少し気にかけていたところでしたので、上司(中隊長)が勧めてくれて幸運でした。
私は、レスキュー隊選抜試験と大学入試試験の勉強を両立して、合格を目指すことにしました。
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社会人枠がある大学を探す
さて、どこの大学で何を勉強するか迷いました。
将来の夢である「消防士」になることは達成できているので、「消防士」をしていく上で何か役立つ知識を身に付けようという結論に至りました。
さらに夜間に通えて、入試試験で「社会人枠」がある大学を探しました。
調べているうちに法律に関心がでてきました。
消防士の仕事は、地方公務員法、消防組織法、消防法などの法律に基づいて仕事をしていかなければなりません。
大学で法律のことを勉強すれば、消防士として何か役立てることができるのではと考えたのです。
そういう訳で、その条件を満たす「日本大学法学部2部法律学科」を受験しました。
試験は、800字程度の小論文と面接でした。
小論文の題名は、記憶が曖昧ですが、志望動機に関することだったと思います。
面接は、あっという間に終わった記憶がありますが、「志望動機」や「働きながら通学することはできるのか」という内容を数回聞かれました。
これは、しっかり覚えていますが、面接の最後に面接官がニッコリしながら「頑張ってくださいね」と言ってくれました。
ということで合格した訳です。
今思うと、消防学校で団体生活や規律の重要性、社会での役割を教え込まれている訳ですから、印象は良かったのでしょう。
不合格の理由が見当たらず、面接官が「入学してから頑張ってくださいね」という意味で最後言葉をかけてくれたのだと思います。

ちなみにレスキュー隊の選抜試験は、大学入試に合格した次の年に合格することができました。
非番日が辛い
21歳になる年、いき揚々と日大法学部二部に通い始めました。
消防士は、24時間働く交替制勤務です。
朝8時30分から働きはじめ、翌朝8時40分に仕事が終わります。

消防士の勤務時間について書いた記事がありますので、下にリンクを貼っておきます。

仕事が終わる日(非番日)の通学は、とても辛かった記憶があります。
午前中に寮に戻ると早めに昼ご飯を食べ、眠ります。
14時30分頃に起き、準備して大学に通うのです。
ただ、起きられないことも多々ありました。
前日の夜に災害出場あり仮眠がとれていないと、14時30分はとうに過ぎ、19時くらいまで寝てしまうことがありました。

大学の授業科目は、曜日の時間で固定されています。
例えば、民法の授業は、月曜日の3時限目に行われます。
授業時間は、下記のとおりです。
【授業時間:平日】
・1時限目 16:20~17:50
・2時限目 18:00~19:30
・3時限目 19:40~21:10
【授業時間:土曜日】
・1時限目 9:00~10:30
・2時限目 10:40~12:10
・3時限目 13:00~14:30
・4時限目 14:40~16:10
・5時限目 16:20~17:50
※ 日曜日・休日は、授業なし。
先生に相談することが大切
寝坊して、遅刻や欠席することは、多々ありましたが、単位は順調にとることができました。
なぜなら、年度はじめ、先生に相談していたからです。
どんな相談かというと…
そもそも授業の3分の1は、出席できないこと。
出席できる日も遅刻してしまうことがあること。
それでも不足分を補って単位をとりたいこと。
この3つを必ず話し、相談しました。
すると、ほとんどの先生は、2つの条件を出してくれました。
①授業の2分の1は、必ず出席すること。
②出席できない分は、課題(レポート)を提出することで補うこと。
という条件でした。
この条件は、なんとか達成していきました。

東京消防庁の消防士で日大法学部二部に通う職員は、年に数人います。
大学の先生も消防士である生徒の事情は分かってくれています。
そのため、条件を出すことで単位取得を認めてくれているのです。
これは、先輩たちが、まじめに大学に通い卒業した実績があるからだと思います。
定期試験はどうするのか?
授業の3分の1が欠席になることは、交替制である消防士の勤務サイクル上、やむを得ないことでした。
ただ、定期試験は違います。
定期試験を受けなければ、単位をとることはできません。
ここで、職場の上司に相談する必要があります。
定期試験が1月にあること。
定期試験日が当番日である時は、時間休暇をとりたいこと。
この2点を早めに相談しておくのです。

大学卒業まで上司が4回変わりました。はじめの上司は、大学通学を勧めてくれた方でしたので話はスムーズでした。
次の上司からは、丁寧に説明する必要がありました。
皆さん、大学通学に理解してくれて、定期試験で時間休暇をとることに協力してくれました。
友人のお陰で卒業へ
はっきり言って、定期試験で単位を取得するための点数を取ることは難しかったです。
特に「民法」は、1年生からの必須科目でしたが、4年生まで定期試験の点数が足らず、単位がとれませんでした。
卒業できないんじゃないかと思うぐらい追い込まれていました。
そんな中、友人が手を差し伸べてくれたのです。
授業終わりに、試験対策でノートを貸してくれて、民法を理解するためのポイントを解説してくれました。
友人のサポートのお陰で、民法の単位も取得することができ、4年間で卒業することができました。
ちょうどレスキュー隊員になった時期と重なりましたので、正直辛かったこともありますが、大学に通学して良かったと思っています。
自分で授業料を支払い通学する訳ですから、必死に学習しました。
法律以外の科目も学習できて、視野が広がったと思います。
社会人枠で入学してきた友人との繋がりもできましたし、楽しかったこともたくさんありました。
何よりもレスキュー隊員を目指しながら、大学にも通学し、毎日必死に頑張ることができたことに自信を持つことができました。

東京消防庁は、夜間大学に通学しようとする職員に対して理解があり、サポートしてくれます。
私のように高卒で消防士になったとしても、夜間大学で学士号を取得することが可能です。
若いときから消防士に憧れている人は、高卒で消防士になり、働きながら大学に通うことも一つの道だと思います。というか経験上、オススメできます!
ぜひぜひ消防の世界に!
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