
消防士になりたい、消防の仕事に興味があるけれど…

地元の消防を受験しようかな?

東京消防庁は、東京都に住んでいる人が採用されるの?

東京消防庁の方がいいのかな?

地元の消防から東京消防庁に入った人がいるけど、ありなの?
と想いや悩みを巡らせているのではないでしょうか?
この記事では、これらの想いや悩みを
『もと東京消防庁レスキュー隊長』の『バリー』が今までの経験から解説・アドバイスします。
最後まで読んでいただけたら、地元の消防か東京消防庁を受験するかの悩みが、少し解消されるかもしれません。
ちなみに私は、

消防士は「やりがい」があって最高!
プライベートも充実させてくれて感謝!
って想っている幸せものです。
消防士になりたい、興味がある方にとって、この記事が消防の世界に足を踏み入れる『きっかけ』になってもらえると嬉しいです。

出身地は様々
東京消防庁の職員は、東京都出身の人だけではありません。
というか…東京都出身の人の方が少ない気がします。
正確なデータがないのですが、今まで出会ってきた消防士たちの話を聞く限りそう感じるのです。
「北海道出身です」とか「沖縄県出身です」
と言われても、そんなには驚きません。
驚くよりも…
「あー〇〇さんも北海道出身って言ってました。お知り合いですか?」
「沖縄出身の人は身体能力高いですよね。レスキュー隊の〇〇さんも沖縄出身って言ってました!」
そんな会話になります。
さらに、同郷だということで〇〇県人会などのサークルを作り、みんなで楽しく飲んだりしています。
本当に東京消防庁の職員は、様々な出身地から集まってきているのです。
様々な出身地の人たちと仲良くなると、決まって話題になることがあります。
「地元の消防にするか…」
「東京消防庁にするか…」
ということ…消防を受験する時にとても迷ったと言います。
この記事を読んでくれている人もそういう迷いがあるのではないでしょうか?
今回の記事では、
地元の消防本部から東京消防庁に入った人…
東京消防庁から地元の消防本部に入った人…
二人のエピソードを紹介していきます。

このエピソードを参考にしていただき、選択肢は色々あるんだなと感じてもらえると嬉しいです。
愛知県の消防士
消防学校の同期Aさんの話です。(クラスは違いましたが、消防学校で知り合いになれました)
年齢は当時26歳。(結婚していて子どもが一人いました)
高卒で愛知県の消防本部に採用され、消防士になりました。
ただ、採用試験を受験する前に…
東京消防庁にするか…
地元愛知県の消防本部にするか…
大変迷ったそうです。
慣れ親しんだ愛知で「人のために」働きたい…
だけど、首都を守る東京消防庁に憧れがある。
悩んだ末に、愛知県の消防本部を受験し、合格しました。
その消防本部は、職員数が200名弱で
消防署(本署)が1ヵ所
出張所が3ヵ所
災害は少なく平和なところだったそうです。
そこでAさんは、ポンプ車で消防士をしたり、救急車で救急隊員をしていました。
地元で人助けができることを誇りに思っていましたが…
5年が経ち、「東京消防庁」への憧れが大きくなったそうです。
上司に相談したところ、背中を押してもらって、東京消防庁を受験しました。
受験を決意した年に合格し、消防学校に入校することになったのです。
Aさんは、消防署に配属されてから、直ぐにレスキュー隊(特別救助隊)の試験に合格しました。

Aさんが消防学校にいた頃は、体力が並外れてあったことを記憶しています。
トレーニングする時間に一緒になりましたが、ランニングペースは速いし、綱登りや懸垂をバリバリやっていました。
私は、まだ十代でしたので、体の線が細く、これから筋力を大きくしようとしていたので、すでに体力が付いているAさんをリスペクトとしていました。
レスキュー隊の試験も直ぐに合格できるわけです。
ちなみに私は、レスキュー隊の1回目の試験は、不合格でした。(力の差が明確でした)
レスキュー隊になったAさんは、救助技術大会でも優秀な成績を収めていました。
レスキュー隊卒業後も、中隊長や指揮担当を任され、活躍していました。
その後のことは、どうなったか分かりませんが、おそらくAさんのことですので、管理職にはならずに隊長職で活躍したのだと思います。

東京消防庁は、他都道府県の消防局や消防本部で勤務していた人も採用しています。
私もたくさんの消防署を渡り歩いてきましたが、そういう人を何人か知っています。
Aさんのように東京消防庁に憧れがあって入る人もいましたが、
家庭の都合で関東圏に住むことになり、東京消防庁に入った人もいました。
話はそれますが、救助技術大会の話が出てきましたので、「レスキュー隊の魅力」についての記事リンクを下に貼っておきますね。

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地元に帰った部下
私が消防司令補ではしご隊長の頃に部下だったO君の話です。
当時26歳。(独身です)
O君は、高卒で東京消防庁に入り、レスキュー隊の資格を取りました。
はじめての消防署は、レスキュー隊のないところだったので、異動してきて私の部下になったのです。
O君は、いつも元気に動き回り、話し好きの好青年で…
レスキュー隊になるために車両や資器材の取扱いを熱心に勉強をしていました。
その頃の私は、レスキュー隊員の経験が10年くらいあって消防司令補になったばかりでしたので、レスキュー隊員のあり方をO君にアドバイスしているところでした。
ある時、プライベートで一緒に登山をし、相談を受けました。
地元の実家にいる母親(60代)に持病があって、父親が世話をしている。
持病も少しずつ悪くなっていて、父親の負担も大きくなっている。
そこで父親から「実家に帰ってこないか?」と言われているということです。
O君は相当悩んでいました。
東京消防庁に憧れて入庁し、夢であったレスキュー隊の選抜試験に合格したのです。
レスキュー隊にはまだ配属されていません。
夢を叶えるまで、あと一歩というところです。
でも、実家の両親の力になりたい…
悩むのは当然のことです。
O君の悩みを理解した上で、私なりの考えを伝えました。
「消防の目的は、人を助けること」
「この目的は、どこに居ても同じこと」
「人を助けることは、家族に対しても言えること」
「地元の消防に入る選択肢もあること」
その後、O君は地元の消防本部を受験することに決めました。
私も上司や幹部に「報告と依頼」をしました。
「O君が働きながら地元消防本部を受験すること」
「O君が地元に帰ることが決まったとしても、レスキュー隊に配属してほしいこと」
幹部も私の依頼を理解してくれたと思います。
O君は、次の異動でレスキュー隊に配属することができました。
さらに、レスキュー隊員をしながら、地元消防本部の採用試験の勉強を始めました。
O君にとっては、とても厳しい時期だったと思います。
レスキュー隊は、チームの連携が不可欠なので常に訓練をしています。
体力的にも精神的にもハードな訓練です。
休みの日も訓練の復習をしたり、体力トレーニングをしたりと忙しいはずです。
その合間に地元消防本部の採用試験のために勉強をしなければいけません。
それでも会う度に、いきいきと動き回っていて、
レスキュー隊員になれたことで、充実しているように見えました。
O君は、レスキュー隊に配属してから半年後、地元消防本部に合格しました。
その後、地元の実家に戻り、地元の消防本部でレスキュー隊になれたそうです。
地元では、東京消防庁でレスキュー隊をしていたということで、注目もされていたし、期待もされていたと言います。
とてもやりがいがあって嬉しいし、実家で両親の手伝いができることに喜びを感じていると言っていました。

O君が地元に帰って、仕事でもプライベートでも「人のために」行動している姿に誇りを感じています。
話はそれますが、東京消防庁の異動の話がでてきましたので、その記事を書いていますのでリンクを貼っておきますね。

まとめ
二人のエピソードはいかがだったでしょうか?
参考になったでしょうか?
私は、O君に話したとおり消防の目的は一つしかないと思っています。
それは「人を助けること」
人命救助に情熱を捧げ、ひたすら追求していくしかない。
この目的は、どこの消防組織に入ったとしても同じことです。
ここで大事なのは、「人を助けること」は、家族や仲間に対しても言えることです。
「人を助ける」崇高な仕事をしているのだから、自分の近くにいる「家族」や「仲間」を大切にしないといけないと思うのです。
地元の消防組織に入るか…
東京消防庁に入るか…
私の考えになりますが、家族や仲間のことを良く考えて決めるのがいい選択に繋がると思います。
ただ、その時にベストの選択ができなかったとしても、AさんやO君のように別の消防組織に入りなおして、活躍することができます。
全国の消防士は、崇高な使命のもと、必ずどこかで繋がっているのです。

ぜひぜひ消防の世界に!
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