
消防士になりたい、消防の仕事に興味があるけれど…

特別消火中隊はどんな部隊?

特別消火中隊の人員構成は?

特別消火中隊の防火衣は黒?

特別消火中隊になるにはどうしたらいい?
と想いや悩みを巡らせているのではないでしょうか?
この記事では、これらの想いや悩みを
『東京消防庁もとレスキュー隊長』の『バリー』が今までの経験から解説・アドバイスします。
最後まで読んでいただけたら、特別消火中隊の魅力がざっくり分かると思います。
ちなみに私は、

消防士は「やりがい」があって最高!
プライベートも充実させてくれて感謝!
って想っている幸せものです。
消防士になりたい、興味がある方にとって、この記事が消防の世界に足を踏み入れる『きっかけ』になってもらえると嬉しいです。

東京消防庁の部隊
特別消火中隊は、韓国の大邱地下鉄放火事件や栃木県黒磯市ブリヂストン工場火災の教訓で消火能力が高い部隊が必要であるということから作られた部隊です。
東京消防庁の各方面に67中隊が配備されています。
車両は、ポンプ車2台(先行隊と送水隊)で出場します。
資器材は、ポンプ隊とほぼ変わりませんが、特殊なものとして、暗闇で光る検索ロープ(命綱)や火災建物の温度を測定する赤外線カメラなどが装備されています。
個人装備は、金色の防火帽と黒色の防火服を着ていて、ポンプ隊の個人装備と区別されています。
そして、人員は1つの部隊で8名で構成されています。
中隊長や小隊長は、特別救助隊の経験があるなど災害活動の経験が豊富な人材が選ばれ、隊員はポンプ隊経験が2年から3年以上ある人材が選ばれることが多いです。
そのため、通称「A-one Fire Unit(エーワン・ファイアー・ユニット)と呼ばれ、一流の部隊であることを意味しています。
人員構成と主な任務
先ほど、人員は1つの部隊で8名で構成していると書きました。
その詳細と火災現場での主な任務を見ていきましょう。
【特別消火中隊の人員構成と主な任務の解説】
《先行隊》
・特別消火中隊長(消防司令補)
⇒ 先行隊と送水隊の全体指揮
・特別消火小隊長(消防士長)
⇒ ホース延長・放水、火災建物内での指揮
・特別消火小隊員(消防士長・消防副士長・消防士)
⇒ 資器材の準備、人命検索
・特別消火機関員(消防士長・消防副士長・消防士)
⇒ ポンプ運用
《送水隊》
・特別消火小隊長(消防司令補・消防士長)
⇒ 火災建物に入る隊員たちの管理(屋外で命綱を保持)
・特別消火隊員(消防士長・消防副士長・消防士)
⇒ ホース延長・放水
・特別消火隊員(消防士長・消防副士長・消防士)
⇒ 資器材準備、人命検索
・特別消火機関員(消防士長・消防副士長・消防士)
⇒ ポンプ運用
※()内は階級、⇒は火災現場での主な任務

ポンプ中隊(先行隊・送水隊)、階級について書いた記事がありますので下にリンクを貼っておきます。


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消火能力が一段と高い
東京消防庁では、一つの火災現場に初期で6隊から8隊のポンプ車が出場しますが、その中に特別消火中隊が必ず入っています。
これは、消火能力が一段と高い部隊であるためです。
ポンプ隊と比べて、資器材や個人装備の性能差はほとんどありませんが、先に書いたように人員構成が少し違います。
特に隊員は、消防学校を巣立ったばかりの隊員は一人もいません。
少なくても2年から3年以上のポンプ隊経験を積んでいる隊員であるため、チームの基礎地盤がより強固になっています。
このため火災現場において、黒い防火衣をまとった部隊は消火活動で中心的な役割を担っているのです。
特に工場や倉庫などの大規模火災や地下などの消火困難な火災現場で、大きな力を発揮しています。

特別消火中隊の隊員は、私の感覚で30代前半から40代前半の人が多く、油がのっている世代です。
ポンプ隊経験が2.3年の人でも、さらに頼れる先輩がいて、さらなる「目標」や「やりがい」を感じることができると思いますよ。
仲間を守る
東京消防庁では、火災現場で隊員の受傷事故を防ぐために、安全管理隊が出場します。
この安全管理隊を特別消火中隊が担います。
基本的に消火作業は行わず、火災建物周囲に人員を配置し、活動隊員が受傷しないように注視し、メガホンや無線機を使って注意喚起をします。(危ない行動は、是正します。)
何を注視するかというと…
火災建物の延焼経路を確認し、急激な延焼がおきる兆候はないか…
火災建物の中に単独で入っていないか、命綱は付けているか…
屋根材(瓦やスレート材)や窓ガラスの落下する兆候がないか…
火災建物の強度が下がり、床が抜ける危険がないか…
などなど。
そうやって、仲間が受傷しないよう隊員を守る任務に徹するのです。

東京消防庁の安全管理体制は、かなり厳格なものであると感じています。
その理由の一つとして、特別消火中隊長は、この役職専用の研修を受けています。
そこで消火活動や安全管理能力を向上させる教養を受講します。
ポンプ隊から特別消火中隊を目指す
特別消火中隊は、消火能力が高い洗練された部隊で、火災現場で大きな力を発揮します。
さらに仲間を守る安全管理隊を担うことができます。
これらの任務の責任は大きいため、災害経験豊富な人材で構成されています。
そのため、若い世代で憧れを抱いている人はたくさんいます。
特別消火中隊に任命されて、火災現場で活躍したい…
金色の防火帽と黒い防火衣をまといたい…
洗練された人の仲間になりたい…
こういう目標を持って、頑張っている人もいます。
それだけ価値のある部隊と言っていいでしょう。

特別消火中隊になるのに特別な資格は必要ありません。
ただ、選ばれるように努力する必要があります。
特別消火中隊員になれて、喜んでいる人はたくさんいますよ。
ぜひぜひ消防の世界に!
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